7月に入りました!
といっても、まだ梅雨の最中なので、本日も曇天。夏の陽射しはもう少し先のようです。
さて、暦の上では只今は二十四節気の夏至。
明日からは、その末候「半夏生(はんげしょう)」に入ります。
半夏とは、サトイモ科の一種「カラスビシャク」で、それがこの時期生えるということで「半夏生」
カラスビシャクは、東京でも畑などで雑草として生えているものをたまに見かけますが、ちょっと花に見えない花をつけるので私の中では印象に残っています(^^)
左は草地から生えている様子。
ちょっと判り辛いですが、中央あたりのひょろーっと伸びているのがそうです。
で、右は花の拡大。
こんな風に一見葉や茎に見えるので、しかも色が緑ということもあり、長いこと花だとは思いもしなかった私です(笑)
名前のうち「半夏」は、ドクダミ科の「ハンゲショウ(半夏生・半化粧)」と混同されたからだと言われています。
ハンゲショウの方も、今の時期――半夏生に花をつける植物。
そこから名付いたと言われていますが、花に近い葉っぱの半分ほどが白く色が変わるところから、まるで半分お化粧したみたいだということで「半化粧」の字も当てられます。
とりあえず、今回はサトイモ科の半夏のほう――カラスビシャクに話を戻しまして。
このカラスビシャクは、そのまま「半夏」という名で生薬として使われています。
球茎の外皮と根を取り除き、それを干したものが薬になるとのこと。
吐き気を治めたり、喉の痛みや痰きり、コレステロールの吸収抑制などの効果があるそうです。
そんな半夏が生える頃。半夏生の頃は農家では田植えの最終期。
この頃までに田植えを終えないと、「半夏半作」といって収穫が見込めないという諺があるぐらいだそうで。
逆に、半夏生までに田植えを終えた農家は、ひと時のお休み時。
半夏生から5日間は、農作業をお休みしたり、田の神様へ豊作を願ってお神酒や麦団子を供える地方もあります。
本州では丁度梅雨の最中、雨の降り続き易い時期で、外作業に向かない・なるべく避けたいといった意味合いも少なからずあったのでは?と思えます。
ちなみに、半夏生の日に降る雨には毒気があり、井戸に蓋をして毒気が入るのを防いだり、この日に採った野菜は食べてはいけないとされていたそうです。
偶然なのかもしれませんが、先ほどの植物の半夏(カラスビシャク)が使われる生薬は、吐き気、腹鳴り、食欲不振などの胃腸系のトラブルに使われることが多い。
加えて、梅雨時は、食中りなどのトラブルが置き易い時期。
そういったことをつらつら考えると、
半夏生の雨→天から毒気が降る→その日に採った野菜は食べるな→お腹を壊して吐く→それを治めるのがこの頃に生える「半夏」
といったひと続きの流れが見える感じで、ちょっと面白いなあとも感じる。
ちょっと不謹慎なようですが、そうした胃腸系のトラブルが置き易い時期なので気をつけなさいよ。あるいは、もしこの時期、胃腸系のトラブルに見舞われた時には季節の薬草(半夏)が良いですよ、という昔の人の暮らしの知恵みたいなものがこめられている名付けだなあ、という気がするのですが、如何でしょうか??
今年の半夏生は明日。果たして雨は降るか否か……???