色を見るには光が必要。
光がなければ色は見えない、色は光の表れ……とは、色彩学を学んだ時、一等最初に聞かされた話。
先だって、それを実感する機会に恵まれました。
遡ること、今年のお正月旅行の折。
泊まったホテルから夜半、海上に浮かぶ月とそれによって出来た光の道を写真に撮ったのですが……。
まずは↓の2枚の写真をご覧下さい。
この2枚の写真は、ほぼ同時刻、同じ場所から撮ったものです。
なのに……微妙に色が異なります。
一方は色味があまりなく、モノクロチックに。もう一方はやや黄みが強く入って写っています。
勘の良い方は「カメラの設定が違うんでしょ」とご指摘されるかもしれませんが……その通り(笑)
ただし、変えたのはたった1箇所。シャッタースピードだけ。
向かって左はシャッタースピードを1秒で、向かって右は2秒で撮っています。
その他の設定は全て同じ――。
にも関わらず、これだけの色みの違いが出る。何故でしょうか?
シャッタースピードの設定を変える時、というとどんな場面を思い浮かべるでしょうか?
一番多いのは、よくカメラのCMなどでも見かける「動いている被写体の一瞬を切り取る」場面でしょうか。
あるいは、川の流れなど、常に動いているものをあえてシャッタースピード遅くして撮って水の流れる感じを表現する、といった場面でも使います。
しかし、シャッタースピードの一番の役割は実はそこではありません。
一番の役割は、シャッタースピードを調節することで「レンズに入る光の量を調節する」ことにあるのです。
カメラに入る光の量はレンズの「絞り」と「シャッタースピード」で調節されます。
レンズの絞りは、私たちの目でいうところの瞳孔と同じ。明るいところでは瞳孔を絞って光の入る量をセーブし、暗いところでは瞳孔を大きく広げて少しでもたくさんの光を取り入れようとします。
カメラの「絞り」もこれと同じで、明るいところでは小さく絞って、暗いところでは大きく開放して、取り込む光の量を調節しています。
しかし、絞りだけでは光量の調節は決して十分ではありません。
たとえば、この写真のように夜、そもそもの光の量が絶対的に不足している環境では、いくらレンズの絞りを開放しても取り入れられる光の量はたかが知れている。
ではどうするか……?
絞りだけではカバー出来ない、光の調整を担うのが「シャッタースピード」です。
「絞り」と「シャッタースピード」と「光量」の関係は、しばしば水道でコップに水を汲む例に喩えて説明されます。
曰く、
・蛇口の開きが少ない(レンズを絞っている)
→コップに水(光)が溜まるまでの時間(シャッタースピード)が長い
・蛇口の開きが大きい(レンズを開放している)
→コップに水(光)が溜まるまでの時間(シャッタースピード)が短い
つまり、シャッターが長く開いていれば、それだけ多くの光を取り込める。
夜景のような光の少ない環境で写真を撮る場合、絞りの調整だけでは不足する光の取り込み量を、シャッタースピードを長く=遅くすることでカバーするのです。
今回の場合、1秒と2秒と、たった1秒の差ではありますが、カメラにとってその取り込む光の量は大きな違いとなりました。
そして、光には、さまざまな波長の色光が含まれています。
波長の違いによって光の届く時間もごくごく僅かに――私たちの実感では得られないくらいごく僅か――ですが異なります。シャッタースピードを遅くすればその分だけ、それら波長の異なる色光を多く捉えられる=色みの表現に繋がるのです。

とはいっても、単純に光の量が多ければよい、ということでもありません。
これまた私たちの目に置き換えてみれば判ることで、光が多すぎる=眩しい中では、逆に目が眩んで色の識別が難しくなります。
カメラも同じで、色の表現には必要な光の量はあくまで「適量」 だからこそ、「絞り」と「シャッタースピード」でカメラに取り込む光量を調節するのです。
実は先の写真の2秒Verの方は光の量が多すぎて、実際よりもかなり黄みがかって写ってます。また月や海上の光の帯もかなり明るく、ともすれば膨張気味に写っています。
目で見た感じは、むしろこんな具合→
先の2枚とは構図が違うため、シャッタースピード以外の設定も異なり同一の比較は出来ないのですが、取り込む光の量の違いで大分印象が違ってくることはお判り頂けるのではないでしょうか?(^^)
ところでこの記事、いつか書こうと思いつつ、つい先頃までポロっと忘れておりました(^^;
思い出すきっかけとなったのが、先だってあつ子さんたちと見に行った
プラネタリウムでのオーロラ。
オーロラ撮影も、決して光の十分な環境とは言えません。
加えて、あの微細に揺れ動く光を捉えるには、どれだけシャッタースピード設定に気を配ったことか……
光がなければ色はない、光があってこその色――。
だけれど、より美しく色を表現するにはそれぞれ適した「光の量」というものがある。以前に色彩学で学んだ
PCCSトーン図などを思い浮かべつつ、改めて実感したのでした☆
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